『「幸せ」の経済学』


経済学者なのにこんなに心理学とか幸福のデータ使ってる本初めて見た。


世界一幸福な国デンマーク

北欧諸国の高負担高福祉の政策方針は優れて成功しているということが言われています。

特に今回はデンマークが優れた福祉政策を支える優れた経済政策を両立していることを見ていこうと思います。

経済政策の5ついいところ

  1. 生産性が高い
  2. 強い産業への移行
  3. 積極的雇用政策
  4. 法人税率を低くする
  5. 女性労働者が多い

 

言うは易く行うは難しですからねー。これらをやっちゃってるのは本当にすごいことだと思います。

まず1.生産性が高い ですが北欧は生産性高いので有名なんですよね。ちなみに日本は生産性ランキング23位です。GDP3位なのにすこし残念ですねー(生産性高ければいいってもんではないですが。)

デンマークの生産性の高さには理由がいくつか考えられますが、本書で書かれていたのは教育への投資が利いているということでした。デンマークは日本に比べて、教育に占める予算が多いです。やっぱり高水準な教育を受けたら生産性って上がるんですね。

 

2.強い産業への移行 :産業って時代によって移り変わっていきますよね。スマホの時代に伝書鳩ビジネスやる人はいない。じゃあ国をあげて儲かるビジネスやっていきましょい!というのをちゃんと舵切りしてるんですね。流石デンマーク。見込みのない産業は切って、伸びるor自国が強い産業を固める、と。

 

3.積極的雇用政策:失業者に手当出したりして、セーフティネットを創るのが福祉国家の仕事ですよね。ここでいう積極的とは、失業手当をあげるというよりかは、技術訓練を提供したりして、スキルを持たせ、そもそも自分で転職していけるぜ!就職していけるぜ!って人を作りましょう。そしたら失業手当にかかる費用も浮くし強い人も作れるし一石二鳥だぜいえいえい、というのがこれです。

 

4.法人税率を低くする:企業からお金を巻き上げないようにしています。会社がぐんぐん成長していきます。でもそしたらお金を他のところから取ってこなくてはいけません。どこから取ってきているかというと、、、国民です。デンマークでは負担を大企業に押し付けず、国民が担っています。

普通に僕たちがデンマーク国民だったら、「え~~、俺らから取りすぎじゃね?企業から取ってよ政府さん~」となりますよね、気持ち的に。でもデンマークではちゃんと国民から取ってるんです。国民も了承してる。

これは凄いことです。国民が高福祉を得るためにはちゃんと負担も自分で負わないといけないことを理解して、覚悟している。こういった合意形成がなせるところにこそ、デンマークの政治の強さがあります。この精神性が本当にスゴい。

 

5.女性労働者が多い:単純に働く人が多くなるのでGDPが増えます。ちなみにもちろん、偶然女性の割合が高いのではなく、子育て支援政策などしっかりやってるから多いのです。

 

 

 

儒教、勤勉

先ほども出てきましたが、北欧の本当にすごいところは生産性が高いだとか、女性労働者の割合が高いだとか、そういう表面的なところではなくて、その奥深くにある「平等と民主の精神」が根付いているところです。

フランスの市民革命をはじめとする民主化運動の勃興を見ても分かりますが、北欧の現場人から始まっています。憐みの精神、参政意識の高さ。北欧から日本が学ぶことは膨大にあります。

 

 

さて、日本の精神性のルーツは何でしょうか。

これも色々あるかと思いますが、本書で取り上げられていたのは儒教です。

江戸時代には薪を背負って歩きながら本を読む像で有名な二宮尊徳は、勤勉と倹約の思想を強調しました。ちなみに僕の小学校にも像ありました。

勤勉と倹約なんですね。つまり、「働かざる者、食うべからず。」

生活保護受給者への風当たりが強いこともこれと無関係でないはずです。「自分の生活する分くらいは自分で働いて稼げよ」という冷たい視線が多いように思われますが、歴史的な教えや文化性と連動しているのかなと思います。

 

制度だけでなく、自分の精神性や当たり前がこれでいいのかと一度疑わなければいけません。

 

 

実は格差を望んでいる!?

心理学から格差を見てみると、社会支配理論というのがあります。

社会支配理論とは、簡単に言えば「強い人に、弱い自分を守ってほしい」と考えることです。逆も然りで、「弱いやつらを服従させてやろう」と思うことです。

 

つまり、格差が生じている世の中において、格差のピラミッドの上の方の人も「格差があるこのままがいいな~」って心の底では思っているし、ピラミッドの下に位置する人も「なんか辛いな~偉い人たち守って~(ピラミッドの上にいく意志は少ない)」となってしまっています。

 

ほえ~!と思いました。格差があったら負をこうむっている人は、上にのし上がろうとするものかと思っていましたが、確かに心理学で考えてみると、「現状維持の気持ち」からのし上がるみたいな面倒なことを避ける心理や、服従しておいた方が短期的に楽なのでメリットが大きいように錯覚してしまう可能性は納得できます。

これはそう思うやつらアカン!みたいな話ではなくて、脳の構造的に人間全員が格差を認めてしまう、ということが有りうるということを押さえておかなければならないという話です。

 

また、さすがに社会支配理論があると言っても、程度が行き過ぎれば革命や暴動が起こることは歴史が証明しています。

 

つまり、ここで重要なのは、格差是正への世論の高まりや格差対策の政策決定には次の2つが関わっています。

①実際の格差の大きさ自体
②認知している格差の大きさ

 

①がいくら大きくても、②が小さく、負をこうむっている人ですら格差に対して適切に異を唱えていかなければ格差是正への動きは依然遅いままです。それはこうむっていない側にも言えます。

 

 

本を読んで

第三者評価的で包括的な暮らしの質を測る評価指標はある程度、形作られていることが分かりました。また、デンマークをはじめとする福祉国家では現に国民の幸福度は高く、経済成長も保っていることが分かりました。

ただ、僕の関心である主観的幸福度評価法と経済指標を組み合わせたものは依然考えられていないのだなあ、ということもそろそろ分かってきました。この辺のブレークスルーの仕方を自分で考えて行こうと思います。

カテゴリー:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です