『進化経済学のフロンティア』


今まで「進化経済学」という言葉すら知らなかったが、僕の考え方はかなり進化経済学の考え方が根幹になっている



 

 

認知能力の限界

人間の脳の処理機能には限界があります。視界に入ってくる情報をすべて処理してられないので、その場その場で重要な情報だけを選択して摂取しています。例えば、友達と話している時は友達を見て、表情、口の動き、しぐさみたいな情報を取得していますが、背景の細かな模様や友達が着ている服の材質、手がどれくらいざらざらか等は意識できてないと思います。

意識できてないというより、脳のキャパ限界によってそれらの情報は捨てられています。

しかし古来の経済学では、計算を単純化するために「買い手は国中の全部の商品の情報を知った上で比較して購買している」みたいなあり得ない前提に立っています。

また、製品機能が同じで値段が高い商品Aと、値段が安い商品Bがあると、人々は商品Bを買うとされますが、そうでもないことがあります。友達みんなが商品Bを持ってると、なんかミーハー感が出てだせえな~、ってことで商品Aを買ったりします。

 

 

こういったように人間は限定合理的な生き物であって、人間が集まってできる経済も限定合理的なんですよーというスタンスを取ります。

 

 

 

ミクロマクロループ

人間誰しも自分なりの価値観がありますが、その価値観はどこから来るのでしょう。

例えば、子供のころに親から「嘘をつく人間は最低でクソ野郎だ。嘘をつかない人間は最高だ」と言われ、嘘をつく度に蔵に閉じ込められたとします。そしたら基本的には、嘘をつかない人間に育ちます。

ということは社会のルールが僕たちの価値観を規定しています。(マクロ:ルール⇒価値観)
ここでいう社会のルールとは、経済システムや法律、教育制度など社会に存在するあらゆるもののシステムのことです。

 

ではその社会のルールはどこから来るのでしょうか。

「嘘がない世界がいいな~」と思ってる人が多く集まると、「嘘をついたら罰金ね」みたいなルールが出来ますよね。

ということは僕たちの価値観が社会のルールを規定しています。(ミクロ:価値観⇒ルール)

 

 

これは鶏と卵問題のようなものです。(ルール⇔価値観)双方向の循環です。
価値観を変えることで社会のルール(経済、法律など)を変えようと思えば、それは宗教もしくは教育が重要ということになります。

ブータンなどでは、仏教によって、「自然は大事」という価値観が作られるため、自然を疎かにしない経済政策がとられますし、「家族との時間は大事」という教えによって会社は定時きっかりに帰るというルール作りがされます。

 

逆に、社会のルールを変えることで価値観を変えようと思えば、経済システムや法律自体を変えて行かないといけません。この本では社会のルールを変えていこう、更に、その時代に適した価値観に導くような社会システムを構築しなければ、ということが語られます。

 

 

その時代に適した価値観に導くような社会システムとはどんなものか。

例えば、お医者さんのケースを見てみます。
お医者さんは生きていかなければならないのでお金を稼ぐ必要がありますし、お金を病院にいれないと病院が潰れるので病院の為にもお金を稼ごうとします。

お医者さんはどうしたら一番効率よくお金を稼げるでしょうか。

「診療時間を出来るだけ短くして、高い薬を多く売る」です。

これが一番目標達成のためのコスパがいい。

 

ただ、お医者さんが実際にそうしているわけではないです。「人に優しくありたい」という価値観があるので、「お金を多く稼げ」という社会のルールと戦ってなんとかバランスを取っています。(バランスをちゃんと取れているのかはわかりません)

 

そこでこういったお金の形が提案されます。

支払いが終わった後にも絶えず価値が変動するお金です。例えば、診療時間を短くして効き目のない高い薬を売りつけても1万円もらえるとします。それは「診察時」でお金のやりとりが終了しているからです。

ではルールを変えて、「常時」お金の価値が変動するとするならば、こういうことが出来ます。

「病気が善化すれば、その人から受け取ったお金の価値が上がる。病気が悪化すればその人から受け取ったお金の価値が下がる。」

 

 

 

こうすることでお医者さんは本当に治るように診察するインセンティブが生まれます。正確に診療し、適切な薬を渡す努力が増強されます。

逆に、病気が治らないような下手な診断はしなくなります。それは「そうした方が患者さんが喜ぶから」といった価値観に加えて、テキトーな診断をすることは実際的にそのお医者さんにとってになります

 

 

これは本当に重要だと思います。今は「悪人が得をする」社会であることが多々あります。それは病院のケースだけでなく、多くの場所で行われいます。イジメを止めた人がイジメられるとか。そんな世界では「イジメが発生するのは、まあしゃあないよね…」みたいなよく分からない価値観が形成されます

「悪人が損をして、善人が得をする」という当たり前の社会、価値観を創っていく必要があります。

 

インターネットが普及し、スマホが普及し、仮想通貨が出現してきている現代では、価値が連続的に変動する貨幣をはじめとする諸制度は実現可能性があり、そういったものを構想していかないといけないと著者たちは仰っています。

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